配偶者同行休業制度と再雇用制度

配偶者同行休業制度と再雇用制度

Last Updated on 2023年9月5日 by sts

「駐妻」という言葉ありますが、最近稀に聞くようになってきた「駐夫」という人たちもいます。私は妻の海外赴任に帯同する予定、つまり駐夫の前の段階であるため、「プレ駐夫」と名乗っています。

駐妻・駐夫は、配偶者の海外転勤に着いて海外に行く人々のことを言います。海外に行くために、それまで行っていた仕事を辞めざるを得ないケースが少なくありません。ところが最近では、駐妻・駐夫の動きが変わってきているということで、紹介したいと思います。

海外赴任と家族

海外赴任とは、会社や団体の辞令により海外に転勤することを言います。かつては大企業が海外に駐在員を置くことが多かったですが、近年では中小企業やスタートアップ企業も海外進出を行い、海外赴任を命じることが多くなってきました。海外赴任に似た言葉として海外出張がありますが、海外赴任は所属や住所を変えることを指し、海外出張は所属や住所を変えずに短期間で海外に仕事に行くことを指します。近年、女性の海外赴任も増えてきていますが、まだまだ男性の方が圧倒的に多いのが現状です。

海外赴任において重要となってくるのは家族です。単身赴任とするか家族での赴任とするかは、非常に重要な選択となります。下記は子どもがいる家庭の帯同パターンです。全体の約85%が、両親と子どもとで海外に赴任しています。海外での仕事は慣れない仕事が多く忙しく、配偶者のサポートが必要なケースがとても多くなります。また、子どもをみる余裕もないことから、配偶者は赴任者に帯同するケースが多いと考えられます。

駐妻駐夫のキャリア分断

配偶者のキャリアは海外帯同の期間に分断してしまうのが通例です。ある意味育児休業に近い性質のものですが、大きく異なるのは「帰国後の仕事の保証がない」という点です。帰国後の職探しに悩みや不安を抱く例は、少なくありません。特に、それまでバリキャリで働いていた人たちにとっては、帰国後の職探しは大きな悩みとなっています。

配偶者同行休業制度

近年、そのような駐妻駐夫にとって嬉しい制度を採用し始めている企業がいくつかあります。「配偶者同行休業制度」です。「配偶者同行休業制度」とは、下記のような制度のことを指します。

配偶者同行休業制度とは、有為な国家公務員の継続的な勤務を促進するため、外国で勤務等をする配偶者と外国において生活を共にするための休業制度です。

https://www.jinji.go.jp/doukou/haiguusya.html#:~:text=%EF%BC%B1%EF%BC%91%20%E9%85%8D%E5%81%B6%E8%80%85%E5%90%8C%E8%A1%8C%E4%BC%91%E6%A5%AD,%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E4%BC%91%E6%A5%AD%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

「配偶者同行休業制度」を採用している企業と年数の一覧を以下の通りまとめました。個人で纏めたものなので誤りがあると思います。修正追加はTwitterDMでいただければと思います。※2020年の情報です。webから収集したものですが、2023年現在は状況が変わっている可能性があるのでご注意ください

年数企業名
5年ソニー、セコム、大和証券、住友電工
3年帝人、国家公務員、地方公務員、日本電産、KDDI、資生堂、味の素、大阪ガス、日本郵船、住友化学、アサヒビール、キリンホールディングス、リコー、資生堂、国際石油開発帝石、丸紅、旭化成、日本製鉄
2年日本航空
不明共同通信、富士ゼロックス、JXTGエネルギー、三井住友トラスト、日立金属、ANA、丸紅、三菱商事、三菱化学、ブリヂストン、日本政策金融公庫、TDK、三井不動産レジデンシャル、大東建託、損保ジャパン、大成建設、東京海上日動、八十二銀行

再雇用制度

配偶者同行休業制度と同様に、帯同家族を支援する「再雇用制度」があります。

再雇用制度とは育児・介護・配偶者の出向帯同などで退職せざるを得なくなった従業員を再雇用する制度です。

https://tyuuzuma-oyu.com/jobreturn/

「再雇用制度」を採用している企業一覧を下記にまとめました。こちらも個人で纏めたものなので誤りがあると思います。修正追加はTwitterDMでいただければと思います。※2020年の情報です。webから収集したものですが、2023年現在は状況が変わっている可能性があるのでご注意ください

企業名
武田薬品、日本郵船、住友化学、アサヒビール、キリンホールディングス、帝人、リコー、日本電産、AGC、住友電工、富士フィルム、東海理化、マツダ、日揮、郵船ロジスティクス、新菱冷熱工業、大成建設、前田建設、イトーヨーカ堂、住友理工、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、日清オイリオグループ、デンソーテクノ、IHI、三菱重工業、リンテック、ニコン、日本ガイシ、クボタ、オリンパス、沖電気、豊田自動織機、デンソー、コニカミノルタ、JXホールディングス、愛知製鋼、富士通、三菱地所、日本発条、三菱電機、大豊工業、トヨタ自動車、三菱自動車、Yahoo!

今後の展望

上記のような制度を活用する人たちが増える一方で、それらの制度を採用している企業はまだ多くないという現実があります。そこで、制度を使う人使わない人問わず、前向きな動きも増えています。

具体的には例えば、駐在期間中にキャリアアップを目指す駐妻駐夫が増えています。個人的に調べたところ、駐妻駐夫のうち約65%がスキルアップを全く/ほとんど/あまり行わなかったですが、約35%がスキルアップを行ったと言っています。

スキルアップの手段としては、語学学校、大学、MBA、自主的な学習、現地での仕事、日本企業でのリモートワーク、プロボノなど、多岐にわたります。ビザとの兼ね合いで、自身にとってどれが適切かを選ぶ必要があります。

以上、駐妻・駐夫を取り巻く環境、休職制度再雇用制度を紹介してきました。駐妻・駐夫に新たな道も拓けてきていることも紹介してきました。私もこれから駐夫になる立場として、基本的には楽観的に海外生活を楽しみたいものの、締めるところは締めて、上述したような戦略的な動き方をしたいとも思っています。

この記事が、少しでも皆さまのお役に立つことができましたならば光栄です。