レッドブルのパクリ?!違います。タイのエナジードリンク「Krating Daeng」

レッドブルのパクリ?!違います。タイのエナジードリンク「Krating Daeng」

Last Updated on 2024年9月10日 by sts

はじめに

タイのコンビニやスーパーで、レッドブルのようだけど何か違うエナジードリンクを目にしたことがある方は多いと思います。レッドブルと同じ「激しくぶつかり合う2頭の赤い牛」ロゴの瓶入りで、値段は10バーツ(約44円)。しかも「RedBull」の表記は見当たらず、「Krating Daeng」と書いてあります。さすがに怪しいですよね。。

ということで、タイのレッドブルのようなエナジードリンク「Krating Daeng (クラティン・デーン)」について調べてみました。

タイのエナジードリンクの歴史

Krating Daengについて理解するには、タイのエナジードリンクの歴史を紐解かなければなりません。しかし眠くなるといけないので、できるだけ簡単に済ませたいと思います。

まずは問いかけとなりますが、タイ初のエナジードリンク(栄養ドリンク)をご存知でしょうか?なんと我々日本人のよく知るあの栄養ドリンクが、タイの地に初めて降り立ったのだそうです。おなじみ大正製薬の「リポビタンD」です。

1965年、リポビタンDは、タイ初の栄養ドリンクとして販売開始されました。タイで牛乳が18円、タクシーの初乗りが80円の時代に、リポビタンDはなんと150円で発売されたそうです。それでも他に競合の無かったリポビタンDは、タイの栄養ドリンク市場を独占していたそうです。

1978年、リポビタンDのあまりの高さに目をつけた「TCファーマシューティカル・インダストリー」社(チャリアオ・ユーウィッタヤー社長:タイ人起業家)は、ターゲットを低所得者層に絞り「Krating Daeng(クラティン・デーン)」を販売開始しました。しかしながら、リポビタンDとM150(リポビタンDの販売代理を行うオソサッパー社が独自開発した安価なエナジードリンク)を上回ることはできず、シェア拡大に苦労していたそうです。

1984年、オーストリア人起業家の「ディートリヒ・マテシッツ」がKrating Daengの国際的な販売権を獲得。独自の配合で数年をかけて改良を行い、「Red Bull (レッドブル)」の名称で販売を始めました。マテシッツは、ビジネスで日本に来た際に、日本を中心とするアジア諸国でエナジードリンクが大きな市場を形成している事を知り、欧米でも同種のビジネスが成り立つのではないかと考え、調査を進めている内にKrating Daengに出会ったといいます。

つまり、Krating Daengはレッドブルのルーツ

つまり、Krating Daengはレッドブルのルーツということになります。パクリどころか、言い方によってはその逆です。

レッドブルとKrating Daengの違い

値段は、レッドブルが69バーツ、Krating Daengが10バーツと、7倍も違います。

味は、レッドブルはご存知の通りすっきりして美味しいと評判ですね。日本人だけかもしれませんが、ちょっとした憧れもありますね。Kratind DaengはリポビタンDやその他の日本に古くからある栄養ドリンクと似ていて、甘みとカフェインの風味が強いです。

おわりに

その後について確かなところはわからないのですが、レッドブルを作ったオーストリア人起業家ディートリヒ・マテシッツと、Kratind Daeng生みの親のタイ人起業家チャリアオ・ユーウィッタヤーとは、レッドブル社の共同設立者となったということがどこかに書かれていました。レッドブルの本社は初めはタイにあったようですが、今はオーストリアにあります。工場はタイにあるという話も聞きます。私がよく飲むウォッカはレッドブル社のものですが、工場がタイ国内にあるようなので関税がかからない関係でとても安いようです。

また、ユーウィッタヤー家は近年のタイ国内長者番付ではいつも2位に位置しており、その活躍が伺えます。

こうして見てくると、Kratind Daengに対して親近感が湧いてきたような気がしませんか?パクリなどではないと安心いただけたのではないかと思います。疲れたときにコンビニで10バーツ出して、Kratind Daengを飲んでみてはいかがでしょうか?